「シングルパス」とは、簡単に説明しますと、従来のインクジェットプリンタ―

(「スキャン式」とか「マルチパス」といいます)が、ヘッドをヨコに動かしながら

順送りでプリントしていくのに対し、ヘッドを固定してその下に生地を連続搬送しながら

プリントを行う(ベルトコンベアーの上にインクジェットプリントヘッドを並べて、

その下のベルトに生地を乗せて、連続でプリントしていくイメージ)方式です。

この方式ですと、ヘッドを動かす(その時間を待つ)必要がないので、理論上は

ヘッドの吐出スピードの限界まで、プリントスピードを上げることができます。

結果、現在使用しているプリンターは通常モードで33m/分、倍速モードで約70m/分と

従来のインクジェットの常識を超え、まさに従来スクリーンプリントのスピードに匹敵する

生産性(実は「生産性」という意味では、はるかに凌駕しています:後ほど説明)を手にしました。

必要であれば、毎分100mでも、200mでもスピードUPは可能、という夢のような話も

聞こえてきた時、ここでも「待った」をかけたのは、作業者がついていけない、という人間側の

問題でした。1バッチ=2000m程度で動かす場合、33m/分であれば、1時間かかります。

一方で、仮に100m/分でプリントした場合は、たったの20分で終わってしまいます。

「休む間もなく」次々と、作業を行う必要が出てくる上、印刷と違って、生地のプリントは

生地のムラや欠点(ゴミやシワ)などが「当たり前に」あるため、何か支障があった際はすぐに

プリントを止める必要があるのですが、100m/分のスピードですと、そのエラーのチェックも

非常に困難で、かつ、分った時に止めてもすでに数百ⅿのロスが出ている、ということに、、、

、、、作業者にとって非常に大きな心理的負荷がかかる状況となります。

機械の進化と人間の限界、という難しい問題にインクジェットプリントは直面しています。。