どうにかこうにか、色を調整して、目標に近づいたと思ったら、あれ。。。!?

グランド(柄のベース部分の無地っぽいところ)がベージュなのに、ところどころに

小さな「赤い点」が!?

プリントをやっていると、染料が飛び散って、「染料汚れ」という欠点が発生することが

よくあります。グレーや青なら、まだ目立たない場合もあるのですが、「赤」は「血の色」を

連想させるため、絶対にアウト! 流出(チェックできずに市場に出てしまうこと)すれば

一発でクレーム・始末書を書かされる目に遭います。。。

インクジェットでも、ヘッドから染料が飛び散る、生地がヘッドに触れる等で、思わぬところに

思わぬ汚れが付着することは度々あるのですが、この「ベージュの中の赤い点」は少し理由が

異なり、初期のインクジェット特有のデータ的な問題によるものでした。

インクジェットはご承知の通り、C・M・Y・Kという、色の3原色+黒の計4色のインクを

混ぜ合わせて、全ての色を表現していきます。例えば「ベージュ」という色も、C(シアン:青)、

M(マゼンタ:赤)、Y(イエロー:黄)をバランスよく配合(そのバランスで液滴を打つことに

なります)して、「ベージュ」を表現します。(くすませる場合にはK(黒)を少量打ちます)

ただし、初期のインクジェットはインクの液滴サイズも大きく一定で、「ベージュ」を例えば

黄味→赤みに振ろうとすると、突然、赤い点が現れたりしました。同じ理由で、色味・濃度に

よって、ベタ(無地調)のはずなのに、色のツブツブが見えたり、特有のムラが現れたりと、

当時「いかにもデジタル」っぽい表現となってしまう場合が多々あり、プリントマニアのお客様に

敬遠される一つの大きな理由となっていました。(現在のインクジェットは、液滴サイズを

細かくコントロールできるため、このようなツブツブ感はほとんど見られなくなりました。)

インクジェットプリントが出始めたころ、いかにもデジタル(グラデーションをやたら多用した)

という柄が多かったのは、実はこうした欠点をカバーする意味合いも大きかったようです。