世の中、本来同じモノを「違う」と感じる場合と、違うものを「同じ」と感じる場合とあって、
それがその場の雰囲気だったり、個人の感覚だったりによるので、実は簡単なようで難しい話。
我々の扱っている生地のプリントの場合、元々のデザインは紙に描いたデザイン画や、デジタルで
作成したデータ(通常はディスプレイ上で作りますね)ですが、それをデジタルプリント
(インクジェットプリンタ―で生地に出力)あるいは、アナログプリント(色毎に版分けして
製版→型を使って印捺)という手法で、生地上に表現していきます。
元が「紙」だったり、「画像」だったりするものを、生地に移していくので、当然「違う」ものに
なるのですが、それをできるだけ「同じ」に見えるように調整していくのが、我々のお仕事。
ただ、昔のアナログプリントの場合は、デザイナーの手描きの図案をトレーサーがもう一度なぞって
トレスを描き、それを版に焼いて、レサイパー(染料を混ぜ合わせて指定の色に調合する人)が
色を合わせて、台持ち(プリント機械の操業担当者)が色の乗り具合を確認しながらプリントする、
という共同作業。
どこかで「ズレ」が生ずると、オリジナルのデザインからどんどん離れていく世界なので、
ある程度の(かなり広い(笑))許容範囲を認めないと、とても成り立たない作業です。